国土交通省が出している災害時のトイレのマメ知識を知ろう!

災害が起きたときの対策方法、皆さんはいくつ知っていますか?

「お風呂に水をためて、断水に備える」と答える人も多いと思います。私も自信満々でそう答えるひとりでした。

しかし、国土交通省が出している『災害時のトイレ、どうする?』を見てみると、この知識は危ないことが書かれているんです……!

一体、なにが間違いなのか。そして、災害時はどんなふうにトイレを使えばいいのか。今回は災害が起きたときに備えてトイレの使い方についてご紹介します!

〇災害が発生したときにありがちな状況~戸建て住宅A子さんの場合~


 

まずは戸建ての家の場合の災害時のトイレ事情についてみてみましょう。

 

地震が起こった時、A子さんは家でお茶を飲んでいました。

家族の安全確認をしてホッとしたらトイレに行きたくなってきたA子さん。トイレに行き、ジャ~~ッとトイレの水を流しました。すると……

「あれ、トイレの水が流れなくなっちゃった……。1回じゃ流しきれなかったのに……」

慌ててお隣さんに聞いてみると、地震の影響で断水していて、しばらく水が出ないとのこと。

すると、旦那さんが庭に置いておいた雨水タンクを差し出してくれました。

こういうときに水をためておかなくちゃね!とA子さんはトイレに水を流します。

ところがこのとき、A子さんの知らないところで恐ろしいことが起こっていました……。

実はこの家のトイレ排水の管は地中で壊れていたのです。

それを知らずに、A子さんの家では家族みんながトイレを使い続けます。ついにお父さんがトイレをしたあと、水を流そうとすると……水が流れず、汚水があふれてきました……!

〇災害が発生したときにありがちな状況~共同住宅B男さんの場合~


 

次にマンションなどの共同住宅のトイレ事情をみてみましょう。

 

マンション暮らしのB男さんは大地震の直後、トイレに行くと水が流れなくなってしまいました。レバーを押してもスカッスカッとなってしまい、水が出てきません。

すると、奥さんがお風呂の水を持ってきてくれました。

「これで一気にザバーっと流せばきっと流れると思うよ!」

その言葉通り、一気にお風呂の水をトイレに流すと水が流れて行ってくれました。ほかの部屋でも皆、災害用にくみおきしておいた水を浸かって、ザバザバトイレの水を流していきました。

その結果……。

激しく家のチャイムが鳴り、B男さんが驚いて出てみると、1階の住民が青ざめた様子で「今、トイレ使いました!?」と叫びました。

「上の階の汚水が全部一階のうちのトイレからあふれて、部屋中が大変なことになっているんです!!」

このように、災害時にはトイレの配管も破損する事態がおおいに考えられます。

配管は目に見えないので、「トイレは無事だ」と思うのは早計。大地震が起こったときには安易にトイレを使うと、トイレの水が逆流してきたり、最悪の場合、ほかの家の方に迷惑をかけることになってしまいます。

 

〇災害後、トイレを使っていいかどうかは役所に確認しよう


 

災害後、トイレを使っていいかどうかは役所に確認したり、マンションに住んでいる場合は管理組合等に確認を行いましょう。インターネット環境がある場合は、役所のホームページを見れば、下水道の使用に制限がかかっていないか確認することができます。

また、自分で確認する方法としては、宅地内の汚水ますのふたを開けて、水が流れているか確認する方法もあります。

 

【下水の使用可否の確認手順】~益城町浄化センター 下水道課より~

 

  • 宅地内に台所、トイレ、浴室ごとに汚水枡がありますので、汚水枡の蓋(蓋は直径20cm程度、白色のも

のが多い)をマイナスドライバーで開けます。

 

  • ご自宅の台所の流し等から水(水は、1~3ℓ程度を目安に流してください)を流します。
  • 汚水枡に先ほど流した水が流れてきているか確認します。②と同時に、もう一人の方が監視してください。

 

  • 流れてきた水が汚水枡に溜まったままにならないか確認します。手順①~④を、トイレ、浴室についても同様に実施してください。

 

汚水桝に水が溜まったままでなければ下水道を使用することができます。※水が汚水枡に流れてこない場合や汚水枡から水が減らない場合、下水道は使用できません。

 

〇水洗トイレが使えなくなったときには


 

水洗トイレが使えなくなったときのために、『マンホールトイレ』というものがあります。

マンホールトイレとは、災害時に下水管路にあるマンホールの上に簡易的なトイレ設備を設け、使用するもののこと。『マンホールトイレ』のほか、『災害用トイレ』、『災害トイレ』、『防災トイレ』などの呼び方があります。

マンホールトイレの仕組みを、以下、長岡京市のホームページより抜粋します。

 

『道路の下に埋設している下水道本管から各学校の敷地内へ下水道管を引き込みます。

その次に貯留弁のあるマンホールを設置し、内径45cmの塩化ビニール管を敷設し、一定間隔で直径20cmの塩化ビニール管を立ち上げて、これにマンホール蓋(直径30cm)を設置するものです。

災害などの有事には、このマンホール蓋(直径30cm)を開け、仮設のテントと便器を組み立てて使用し、敷地内の下水道管(内径45cm)に一時貯留してから流すものです。

概ね平均して、約2,000リットルの貯留が可能で、1日に1,500人が利用できます。

ただし、学校によっては、グランドの中に埋設しており、表面からは見えないところもありますが、埋設箇所のそばに啓発看板も設置しており、埋設した場所の確認ができるようになっています』

 

マンホールのふたを開け、その上に便座を設置し、外から見えないように周りにテントを張ります。用を足したときに使うトイレットペーパーもマンホールトイレの中に捨てることができます。ただし、赤ちゃんのおむつなど、トイレットペーパー以外のものは流すと詰まってしまうのでNGです。

マンホールトイレは段差もないので、膝の悪いおじいさんや車いすの方も安心して使えるようになっています。

東日本大震災のときには宮城県東松島市で、熊本地震の際には熊本県熊本市で使用されました。

不測の事態への備えとして、現在災害用マンホールトイレの設置が進められています。

〇覚えておこう!マンホールトイレの場所


 

マンホールトイレの場合、『災害トイレ』というふうにマンホールに書かれているのでそれを目印にしましょう!

 

マンホールトイレの場所のほか、備品の保管場所や組み立て方法を覚えておけば、いざというときに役立ちます。地域の防災訓練などに積極的に参加しましょう。

 

 

 

〇仮設トイレは災害後にいつ設置されるの?


 

災害用のトイレというと、仮設トイレを思い出しますよね。あの仮設トイレは災害後、すぐに使えるのでしょうか。名古屋大学エコトピア科学研究所が行った調査によると、「仮設トイレが被災自治体の避難所まで行き渡る日数」はもっとも多かったのが「3日以内(34%)」、続いて「4~7日(17%)」でした。仮設トイレが設置されるまでの間、尿意を我慢するのも大変なので、マンホールトイレのほか、簡易トイレの確保を考えたいものです。

皆さんは1日に自分が何回トイレに行くか把握していますか?「行きたくなったら行くからわからない」と答える方が多いのではないでしょうか。

東日本大震災の被災者の方のアンケ―ト(調査:日本トイレ研究所)によると『発災から何時間でトイレに行きたくなったのか』という質問に対し、もっとも多かった回答は「3時間以内(31%)」でした。皆さんかなり早い時間でトイレに行きたくなることが分かっています。

「いま、トイレが壊れているから我慢しなきゃ!」と思っても、尿意を我慢することは至難の業。

高速道路の走行中に感じた尿意なら「次のパーキングエリアまで……!」となんとか気持ちを奮い立たせられますが、いつまで続くか分からない災害時に尿意を我慢するのは考えただけでも暗い気持ちになりますよね。

先ほどマンホールトイレを紹介しましたが、こちらは各家庭に1個というわけにはいかないので、マンホールトイレが設置されても、長蛇の列に並ばなければいけなくなるでしょう。夏祭りの花火大会の仮設トイレを想像してみてください。トイレに行きたいのに行列に並ばなければいけない……というのはかなりのストレスです。

そのため、やはり災害時のために私たち自身が簡易トイレを用意しておくのが大事だと思います。

家庭用に簡易トイレと、家族分のトイレの凝固剤と処理用のゴミ袋を用意しておけば、被災した後も家族のトイレを心配しなくてもすみます。介助が必要なおじいさん、おばあさんや、トイレの我慢ができないお子さんがいるご家庭も安心です。

 

〇用意しておきたい簡易トイレの凝固剤の量


 

大地震が発生した場合、本格的な救援活動が開始されるまでには、3日は見ておく必要があるといわれています。健康な人であれば、1日6回以上トイレに行くので、避難生活を3日間とすると、避難生活中に4人家族が必要な凝固剤(とポリ袋の数)は1人6個×3日とすると96個となります。3日間は最低日数なので、できれば一週間ほどの貯えがあると安心だと思います(一週間の場合、168個)。

こんなに大量に用意しなければならないのか……とびっくりされるかもしれませんね。

しかし「トイレさえできればいいからとにかく安いものを購入しよう!」という考えは、おすすめできません。

アウトドアや高速道路走行中の子供の簡易トイレと違って、災害時は病気との戦いになります。ちょっとした感染症も、医療設備の整っていない間は命取りになってしまうこともあるのです。

ですから、トイレの凝固剤を選ぶ際には『防菌効果のある凝固剤』を選びましょう。これにより、腸菌や黄色ブドウ球菌に感染するリスクをぐっと減らすことができます。下痢や腹痛といった症状はたいしたことのないように思えますが、体力の低下している災害時には治りにくくなっています。そのまま症状が進むと、腎不全や脳浮腫による意識障害やけいれんを引き起こすこともあるので注意が必要です。

『防菌タイプ』は、成分表に微生物や食添用殺菌剤が入っているので、購入する際はチェックしてみてくださいね。

また、避難所などの人の多いところで簡易トイレを使用する場合、臭いも気になると思います。便の臭いを招集してくれる『活性炭』が入っている凝固剤を選ぶとなおよいでしょう。

 

凝固剤は一度開けてしまうと水分に反応してジェル状になるので、高温多湿の場所で保管するのは避けましょう。また、トイレの凝固剤を水に流すのは絶対にNGです。糞尿を固めたら、ポリ袋の口を閉め、可燃ごみに出します。

 

〇これがあればOK!おすすめの簡易トイレ&凝固剤セット


 

「『簡易トイレ』なんてなくてもゴミ箱にポリ袋をかぶせて簡易トイレにすればいいや」と思う方も多いかと思いますが、便座がないものの上で上手に排便するのは、実際にやってみるとなかなか大変です。

しっかり足を踏ん張らないとふらふらして、最悪の場合転んでしまう危険があります。子供がトイレに失敗してし尿まみれになってしまった……!なんてことにならないためにも、簡易トイレはしっかり選びたいものです。

『たすけくん』という簡易トイレは、浜松市、磐田市の各自治会や県立高校の災害備品として購入されている簡易トイレで、ダンボール製の組み立て式です。

組み立てる前は、高さ310㎜、幅280㎜、奥行き400㎜の長方形の箱になっており、持ち運びやすいように取っ手がついています。重さも女性が片手で持てる重さとなっています。大きすぎないので車に常に積んでおくのも良いと思います。

組み立てれば、200㎏もの重さに耐えるので、お父さんでも安心して使えますし、丈夫なので家族で何度も使うことができます。

価格は6回分の消耗品(処理用袋、消臭凝固剤)がついて2,160円。

また、簡易トイレでは人の目が気になる……ということを考え、目隠し用のコートも売られています。すっぽりかぶれば、外からは簡易トイレが見えなくなるので、安心して用を足すことができそうです。こちらの目隠し用コートは2,000円となっています。

 

「6回セットだけじゃ不安……」という方の声を反映し、『たすけくん』には消耗品だけのキットも売られています(処理用ポリ袋×10袋、消臭凝固剤×10袋、ポケットティッシュ10個で1,000円)。

消臭・防菌効果のある凝固剤なので安心です。

また、安すぎるポリ袋を使うと、最悪の場合、やぶける可能性もあるので、袋もできれば『汚物用』に使えるものを使いたいですよね!3点セットで1,000円なので、いざというときのために買っておくと心強いと思います!