ダンボール工場に潜入!ダンボールの製造工程&ダンボールの賢い買い方を教えます

ダンボールの製造工程

ダンボールの正式名称は『ダンボールシート』といいます。そう、ダンボールは最初から箱の形をしているのではなく、平たい一枚のシートなのです。

そして、その平たいシートは一体なにからできているのかというと……私たちが使ったダンボールからできています!……どうですか?びっくりしましたか?笑

今回は『ダンボールの製造工程』を知るため、工場を覗いてきました。どんなふうにダンボールが作られるのか、皆さんにもこっそりお教えしますね!

【目次】
ダンボールの原材料……それはダンボール!?
ダンボールはこうしてリサイクルされる
ダンボールを賢く買うためには
まとめ

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○ダンボールの原材料……それはダンボール!?

ダンボールの古紙回収を行っているトラック。古紙回収を行っているイオンやマックスバリュー。資源ゴミの日。わたしたちの周りにはダンボールをリサイクルする窓口がたくさんあります。あらゆる場所から集められたダンボールたちは圧縮・梱包されて、製紙会社へと運ばれていきます。

日本のダンボールの回収率はなんと95%以上。家庭や企業で分別された使用済みのダンボールは、製紙工場でダンボール原紙というものに生まれ変わります。そして、ダンボール原紙から新たなダンボールが生まれるというわけなんです。

皆さんはダンボールのリサイクルマークをご存知ですか? 箱の開いたダンボール箱をぐるりと矢印が囲んでいるマークのことです。

このマークは役目を終えたダンボールがまたリサイクルされるように、人々の意識向上を目的として作られました。

ダンボールは燃えるごみと一緒に出されてしまったり、濡れたり汚れたまま放置されるとリサイクルが難しくなってしまいます。そのようなことを防ぎ、わたしたちが「ダンボールはきれいなままリサイクルに出そう!」と思うためにこのマークが作られたというわけです。

○ダンボールはこうしてリサイクルされる

使用済みのダンボールは、まず古紙回収業者の元に集められます。ここでダンボールに異物が入っていないかをチェックします(ダンボールを留めていた針や伝票など)。チェックが終わったら、ダンボールたちは製紙工場へと運ばれます。ここから、ダンボールは以下のような工程を経て、新たなダンボール箱へと姿を変えます。

 

  • ダンボール原紙の製造

  • ダンボールシートの製造

  • ダンボールケースの製造

  • ダンボール原紙の製造工程

ダンボール原紙はパルパーと呼ばれる機械のなかに入ります。このパルパーという機械は、異物を取り除きながら繊維をほぐし、ダンボール原紙の原料を作るというもの。こうしてできあがった原料は抄紙機(しょうしき)によってダンボール原紙の形にしていきます。

抄紙機の中では、まずワイヤーに原料を広げ、紙の層を作ります。これに圧力をかけ、水分を取り除いたら、蒸気で乾燥させ、縮みや張りを調整し、表面に光沢を付けていきます。こうしてできた紙を一旦巻き取り、所定の幅と長さにカットすると、ダンボール原紙の完成です。

 

  • ダンボールシートの製造

ダンボール原紙から今度はダンボールシートが作られます。

製紙工場からダンボール会社へ運ばれ、いよいよわたしたちが見慣れているダンボールの形に近づきます。

ダンボールシートとは、ナミナミの形の中しんを表ライナー・裏ライナーと呼ばれる平らな原紙で挟んだもの。この3層の形を作るために、長さ70m~100mもあるコルゲータ―という機械で三つの紙を貼り合わせていきます。

まず、「シングルフェーサ」という部分で、中しんをナミ型に成形して糊をつけます。そして、裏ライナーを貼り合わせて片面のダンボールシートを作ります。その後、片面ダンボールシートのもう一面に糊をつけ、「ダブルフェーサ」で蒸気で熱を加えて糊を乾かす工程をします。最後に「スリッタースコアラ」で計算を入れたら、決められた寸法にカット。これでダンボールシートの完成です。

 

  • ダンボールケースの製造

ダンボールシートに印刷し、切れ目を入れ、糊付けしたり、型抜きをすればダンボールケースの完成です。このときに出るダンボールの切れ端はすべて製紙工場へと送られます。

○ダンボールを賢く買うためには

製紙工場で新たに生まれ変わったダンボール。せっかく購入するなら、「これこそわたしが欲しかったダンボール!」というものを手に入れたいですよね。

ダンボールと一言でいっても、その形はさまざま。ダンボールシートの厚さ、紙の種類、カットの仕方によって何十……いや何百……もう数えきれないくらいのダンボールがあるのです。

ホームセンターで目で見て購入する場合は良いですが、通信販売でダンボールを購入際にはダンボールの数字を見ることがカギとなります。

「数字って? 今まで見たこともないんだけど……」と思われるかもしれませんが、よ~~くダンボールの商品説明を見てみてください。最後のほうに『K5AF』といった暗号のような文字があるはずです。

そしてこれこそが、ダンボールの質感・重さ・種類の表記なのです。

先ほど、製紙工場では100mもの長さがあるコルゲータという貼合機(てんごうき)を使い、表ライナー、裏ライナー、中しんを貼り合わせたダンボールシートを作る、といいましたよね。

この3つの層を合わせたものがフルート(段)と呼ばれます。

 

表ライナー、中しん、裏ライナー、フルート。この順にダンボールに名前がついています。以下、ダンボールの呼び名を決定する要素をひとつずつ見て行きましょう。

 

・ライナーの紙質の呼び方……

ライナーは『K180』などという呼び方をします。これはKという種類の紙で180 g/㎡の重さですよ、という意味です。

頭のD、C、Kというのは、古紙の含有率の差。以下のように古紙の含有率が変わります。

 

Kライナー……クラフトライナー (古紙含有率 50%以上)

Cライナー……ジュートライナー(古紙含有率 90%以上)

Dライナー……ジュートライナー(古紙含有率100%)

 

最も高級な紙がKライナー。続いてCライナー、最もグレードの低いものがDライナーとなります。高級なライナーはオモテ面に印刷したときにキレイですがコストが高く、逆にグレードの低いライナーは印刷には向かないけれどコストが安くて済むという特徴があります。

また、ライナーは『重さ』によっても種類が分かれます。これは『紙の厚さ』のこと。厚さは重さ(斤量)で決定します(1平米あたりの重量=g/㎡)。

斤量は正式には 【g/㎡】 と表記しますが、4、5、6、7と1桁の数字で表されることも。

その理由は、日本でダンボールシートが作られ始めた1909年、日本人は「g」で重さを表していなかったからです。当時の日本人は、尺貫法の『匁』(もんめ)で重さを表していたため、1もんめ(=3.75g=5円玉の重さ)という当時の測り方がいまも残っているのです。

 

4匁(もんめ)=130g/㎡

5匁(もんめ)=170~180g/㎡

6匁(もんめ)=220g/㎡

7匁(もんめ)=280g/㎡ )

 

この呼び名を使い、ライナーは『K5』などという呼び方をします。冒頭に『K5AF』という暗号が出てきましたよね。この『K5』というのは表ライナーがK5だよ、という意味です。裏ライナーの表記はどこへ行ったの?と思われた方は勘が鋭いです。実は、表ライナーと裏ライナーは同じ紙が使われることも多いため、裏ライナーも同じ紙を使った場合は『K5』という言葉に省略してしまうのです。

そのため『K5の紙を表ライナーと裏ライナーで使っていますよ』という表記が『K5AF』には入っていた、というわけなんです。

 

・中しんの紙質の呼び方……

 

ナミナミの形の部分にあたる中しんの板紙はライナーに比べ、落ちた紙を使うのが一般的です。その理由は、2つあり、『表面に印刷をしないから』、そして『波状に加工するので、折り曲げやすくて接着性もよいもの』がよいからです。

通常の中しんは、斤量115~125g/㎡を使うので、標準の中しんは『120g』となっています。ダンボールを購入したときに、材質表示に中しんの記載がないときには「120g」のものが使われているといえます。

 

中しんの種類

120g/㎡

160g/㎡

180g/㎡

強化180g/㎡

強化200g/㎡

 

「強化」と書かれているものは特殊な薬剤に漬けて硬化したものです。ただし、『強化』を施せばたしかに硬く、頑丈な紙になりますが、だからといってライナーの紙を薄くしてしまうと、ライナーの表面がぼこぼこになり、うまく印刷できなくなります。それだけではなく、ダンボールシートを折り曲げたときに、ライナーが中しんの硬さに負けてしまい、割れる原因でもなります。

そのため、中しんを頑丈なものにするのか、それとも折り曲げやすいしなやかなものにするのかは、ライナーの種類を考えながら決定していかなければなりません。

 

ではまた『K5AF』の謎に戻りましょう。「中しんの表記がないぞ……?」と気づかれましたか? 先ほど、中しんの標準サイズは『120g』とお話ししましたよね。これこそが謎のカギです。「標準サイズを使っているなら省略してよし!」というわけなんです。

つまり『K5AF』の紙の場合、中しんは『120g』のスタンダードなものが使われている、ということです。

 

・フルートの呼び方……

表ライナーと裏ライナーで中しんをはさんで接着した三層になった段(紙)をフルートと呼びます。

シングルフルートとダブルフルート(フルートを2段にして接着したもの)では厚さがまったく違うように、フルートの種類によって、ダンボールを手にした時の質感、重さがまったく変わってきます。

わたしたちが普段、触り慣れているダンボールはAフルートで作られています。丈夫なので引っ越し用のダンボール箱や飲料水を入れるダンボール箱に使用されています。かたや海外ではCフルートと呼ばれるダンボールが主流です。Aフルートより20%ほど薄いため、保管しやすいという利点があります。

ほかにも、パソコンなどの精密機器を固定するために緩衝材として使われるBフルートや薄くて軽いEフルート。海外郵送の時に役立つ、分厚いWフルート(AフルートとBフルートを合わせたもの)などがあります。

 

Aフルート……ダンボールの基準。シートの厚さは5㎜。30cm内になみ模様が34±2個になるものとされる(前後2個までの誤差はOK)。野菜や清涼飲料水などが入るダンボール箱。

 

Bフルート……Aフルートより薄く、切れ込みや折り込みを入れることができる。厚みは2.5~2.8mm、30cmあたりのなみ模様の数が50±2個になるもの。

 

Cフルート……欧米をはじめ世界のほとんどの国で主流となるダンボール。Aフルートよりも20%ほど薄く、ナミナミが細かい。厚さは約3.5~3.8mm、30cm内になみ模様が40±2個になるもの。

 

Wフルート……Wフルートとはダブルのフルートのこと。AフルートとBフルートを貼り合わせたものなので、丈夫で分厚く、重さもある。AフルートとBフルートを合わせて8mmになるもの。

 

Eフルート……Eフルートはとっても薄いのが特徴。厚さ1.10~1.15mm、30cm内になみ模様がおよそ95±5個と定められている。ギフト箱などに使われる。

 

注:フルートの種類は、ナミナミの形が30㎝あたりにどのくらい入っているのかによって種類分けされています。

 

さあ、最後の謎が分かりましたか?『K5AF』の最後のAFは『Aタイプのフルートを使っています』という意味です。つまり、『K5AF』の正式名称は『K180g/S120g/K180gAF』ということになるんですね。

一見、暗号のように見えたダンボールの数字ですが、こうしてひとつひとつ見て行けば、おもしろいようにダンボールの質感を感じることができるのです。

通信販売でダンボールを購入するときに「頑丈」「引っ越し用」などの宣伝文句をたよりに「これは頑丈そうかな……?」と手探りで購入する必要がなくなるので、ぜひ覚えておいてくださいね!

今後は「Aフルートだからわたしがよく使っているダンボールの厚さだな」というふうにわかるのでおすすめです!

○まとめ

ダンボールがどうやって作られるのかを知ったことで、わたしたちのやるべきことも見えてきたように思います。

ダンボールを新たなダンボールに生まれ変わらせるために、一番重要なのはわたしたちの正しい分別。ダンボールに針が残っていたり、伝票がついたままだと、ダンボールを質の良いダンボールに生まれ変わらせることができません。ほかの古紙と混ざらないように、そして古紙回収業者さんが回収しやすいように、使用済みダンボールは畳んでひもで縛る。このようなちょっとした努力でまたキレイなダンボールを使うことができるなら、やってみようかな、と思いますよね!

ダンボールを賢く購入して、使ったらキレイな状態でリサイクルに出す。そしていつまでもキレイなダンボールを気持ちよく使いましょう!

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