ダンボールの材質

『通販で購入後にがっかりしない!ダンボールの材質を知ればショッピングがしやすくなる理由』

さあ、皆さん、平べったいダンボールシートを思い浮かべてみてください。
どっちがオモテでどっちがウラか分かりますか?
組み立てられた状態だと、外側がなんとなーくオモテだろうな、と分かりますが、平べったいシートの状態だと混乱してしまいますよね。だって、そんなこと一度も考えたことがないもの!という声が聞こえてきそうです。
今回は、『ダンボールの材質を知ればショッピングが怖くない』というのがテーマです。
この記事を読んだら、皆さんのダンボール知識もググッとあがります。もう通販でぺらぺらのダンボールを買ってしまうこともなくなりますよ!

○ダンボールの基礎知識:ダンボールは英語じゃない!


「ダンボール」――はじめてその言葉を聞いたとき、皆さんは何語だと思いましたか?
『ボール』ってついてるし、英語かな?と思われた方も多いのではないでしょうか。実はこの『ダンボール』という言葉は日本語です。
日本で初めてダンボールを作った、井上貞治郎さんという人が名付けたものです。
『ダンボール』は、『段ボール』のこと。
ダンボールの断面を見ると、真ん中にナミナミの厚紙が入っていますよね。これが階段状に見えるということと、ダンボールの紙はボール紙で作られたことから、『段』と『ボール』を合わせて『ダンボール』という名前にしたのだそう。
ちなみに英語では『corrugated cardboard』といいます。発音したものを聞いてみましたが「コーゲテッディドカー(ド)ボード」とまったく聞きなれない言葉でした(笑)。
『corrugated』とは「波形の、ひだのついた」という意味。『cardboard』は「厚紙」という意味なので、直訳すると『ひだのついた厚紙』という意味なんですね。

○ダンボールの基礎知識:真ん中に入っているナミナミの形はいつ思いついたの?


ダンボールの表面をはがすと出てくるナミナミの厚紙。あのふしぎな形が考案されたのは1859年のことでした。イギリスの紳士が、貴族が着ている服の襟元を見ていて「あんなふうに厚紙を波状に折ったら、丈夫な紙ができるのかな……?」と思いついたのです。
果たしてこのアイディアは大成功でした。ナミナミの形の厚紙で包むと、中のモノを優しく包むことができたのです。この丈夫な厚紙のウワサは海を越えて、アメリカまで届きました。当時のアメリカでは壊れやすい電球をどう包めばいいのかみんなが困っていたのですが、ナミナミの厚紙を使うことで問題は解決しました。こうして、ナミナミの紙は『モノを包む優秀な紙』として日本にも伝わることとなります。
ダンボールの名付け親、井上貞治郎さんは、この厚紙をさらに丈夫にするために「機織り機のように厚紙を貼り合わせたらどうだろう?」と思いつきました。
こうして、ダンボールはナミナミの厚紙を2つの丈夫な厚紙で挟む、という現在の形になりました。

○ダンボールを支える3つの厚紙


基礎知識を読み終えた皆さんは、『ダンボールとは、板になる紙2枚の間にナミナミの形に加工した厚紙を挟んで密着したもの』だということが理解できたと思います。この状態のことを正式名称では『ダンボールシート』といいます。
あのミカン箱のような形のダンボール箱はダンボールシートを箱の形に切って組み立てたものです。
ダンボールを支えるこの3つの厚紙にはそれぞれ名前がついています。

板になる紙2枚……『ライナー』と呼ぶ。表ライナーと裏ライナーの2つで『中しん』を挟む
ナミナミの厚紙……『中しん』と呼ぶ。

さらに、ライナーと中しんの3つが合わさったものをフルート(段)と呼びます。
中しん、ライナー、フルートと専門用語で呼ぶことには意味があります。
製紙会社さんがダンボールシートに『K5AF』などと名前を付けるときに役立つのです。
暗号のような名前ですが、この言葉は『表ライナー/中芯/裏ライナー フルート』の順にあわされています。『K5AF』とは、『K180g/S120g/K180gAF』ということ。
Kが表ライナーの紙の重さ、Sが中しんの紙の重さ、Kは裏ライナーの紙の重さ、最後のAFというのは『A』という種類のフルートですよ、という意味です。
中しんは120gの重さの紙を使うのが標準なので、120gのものを使う場合は中しんの表記を抜かして『K5/K5 AF』と表記します。さらに表と裏のライナーが同じ材質なので、こちらも省略してしまって『K5AF』で通じます。
紙を作る現場にいる人たちは、この数字を聞いただけで「ああ、これは薄いダンボールシートだな」とか「厚くて丈夫なダンボールシートだな」と正確に理解することができるというわけです。

○ダンボールの材質・ライナー


ここからは、ダンボールのライナー、中しん、フルートの材質についてさらに詳しく説明していきます。
まずはライナー。
ライナーはD、C、Kの3つの紙の種類と重さで区別されます。D、C、Kの3つの紙は古紙の含有率の差です。

Kライナー……クラフトライナー (古紙含有率 50%以上)
Cライナー……ジュートライナー(古紙含有率 90%以上)
Dライナー……ジュートライナー(古紙含有率100%)

(こちら、表にお願いします)
級 名称        グレード 価格
A級 Kライナー      高 高
B級 Bライナー
C級 Cライナー
D級 Dライナー・NCライナー 低 安

パルプの配合量によって等級が分かれます。Dライナーが最も弱いライナーであり、加工時に「割れ」が発生しやすくなります。

ライナーを表すもうひとつの基準は『重さ』。これは『紙の厚さ』の違いともいえます。厚さは重さ(斤量)で決定します(1平米あたりの重量=g/㎡)。
斤量は正式には 【g/㎡】 と表記しますが、単純に4、5、6、7と1桁の数字で表されることが多いです。
その理由は、日本でダンボールシートが作られ始めた1909年、日本人は「g」で重さを表していなかったから。当時の日本人は、尺貫法の『匁』(もんめ)で重さを表していました。そのため、1もんめ(=3.75g=5円玉の重さ)という当時の測り方がいまも残っているのです。

例:4匁(もんめ)=130g/㎡ 、5匁(もんめ)=170~180g/㎡ 、6匁(もんめ)=220g/㎡ 、7匁(もんめ)=280g/㎡

この重さの単位と、紙質を合わせ、K180(Kライナーの180g/㎡)というように、ライナーを表示します。もんめの単位により、K5と呼ばれたりもします。
D4<C5<C6<K5<K6<K7と6種類のライナーがあるものの、現在使用されているのはC5・K5・K6の3種です。

○ダンボールの材質・中しん


ナミナミの形の部分にあたる中しんの板紙は、『印刷をしないぶん、ライナーで使う紙よりも落ちた紙質』であること。『波状に加工するので、折り曲げやすくて接着性もよいもの』が使われます。
重さで表すと、通常の中しんは、斤量は115~125g/㎡のものを使います。標準の中しんは『120g』となっています。ダンボールを購入したときに、材質表示に中しんの記載がないときには「120g」のものが使われていると思ってくださいね。
中しんの種類は標準の120g/㎡のほか、160g/㎡、180g/㎡、強化180g/㎡、強化200g/㎡と厚さが変わっていきます。

(表にお願いします)
等級 名称 グレード 価格
A級 セミ芯   (パルプ100%) 高 高
B級 準セミ芯  (パルプ+古紙)
C級 準セミ芯  (パルプ+古紙)
D級 強化特芯  (特芯+強化剤)
E級 特芯    (オール段古紙) 低 安
注:ライナーと同様にパルプの配合量によって等級が分かれます。

ちなみに、『強化』と表記されているものは特殊な薬剤に漬けて紙を固くしています。
ただし、この『強化』はライナーとのバランスを考えないといけないので、「とにかく固くすればOK」というわけではありません。たとえば、中しんを200gの強化にすれば強度はばっちりですよね。だからといって、ライナーをペラペラの材質のものにしてしまうとライナーの表面がぼこぼこになって、うまく印刷できなくなるんです。また、ダンボールシートを折り曲げたときにライナーが中しんの硬さに負けてしまって割れたりします。
わたしたちがふだん使ってるダンボール箱はライナーと中しんのバランスを見て作られたものというわけなんですね。

○ダンボールの材質・フルート


表ライナーと裏ライナーで中しんをはさんで接着する。この工程を行うために、製紙工場では100mもの長さがあるコルゲータという貼合機(てんごうき)を使います。
こうして段になったものをフルートと呼びます。
ダンボールはフルートの厚みや種類によって、質感が全然違ったものになります。
たとえば、シングルフルートとダブルフルート(フルートを2段にして接着したもの)ではまったく厚さが違います。以下、フルートの種類をまとめてみました。

注:フルートの種類は、ナミナミの形が30㎝あたりにどのくらい入っているのかによって種類分けされています。

Aフルート……ダンボールの標準的なののがAフルートで作られています。シートの厚さは5㎜。30cm内になみ模様が34±2個になるものとされています(前後2個までの誤差はOK)。引っ越し用のダンボールとして使いやすい厚さです。

Bフルート……Aフルートより薄く、切れ込みや折り込みを入れることができます。厚みは2.5~2.8mm、30cmあたりのなみ模様の数が50±2個になるものとなっています。パソコンなどの緩衝材として使われることも。

Cフルート……欧米をはじめ世界のほとんどの国で主流になっているもの。Aフルートよりも20%ほど薄くなっています。薄い分、厚さは約3.5~3.8mm、30cm内になみ模様が40±2個になるもの。薄い分、保管しやすい利点があります。

Wフルート……AフルートとBフルートを貼り合わせたもの。AフルートとBフルートを合わせて8mmになるもの。主に海外に向けて発送する商品に使う。

Eフルート……Eフルートは厚さ1.10~1.15mm、30cm内になみ模様がおよそ95±5個と定められているもの。薄くて軽いので、ギフト箱などの外装箱に使われることが多いです。

○材質を知れば通販も怖くない!?


Amazonなどの通信販売サイトでダンボールを検索してみると「思っていたものと違った」というレビューをよく目にします。多くの人は、ダンボールの写真と商品説明でそのダンボールの購入を決めるので『引っ越し用と書いてあったから丈夫なダンボールだと思っていたのにぺらぺらだった!』とか『写真では大きそうだったのに届いて見たら小さかった』というような齟齬が生まれてしまうのだと思います。
そんなときに、この記事で得た知識が役に立ちます。
わたしたちはもうダンボール選びのプロ!製紙会社の人のようにダンボールの材質表記を見ればどんな厚さのダンボールなのか分かってしまうのです。
さっそく、通販で売っているダンボールを見てみましょう。

ダンボールキング 段ボール 160 サイズ 5枚 セット 引っ越し 梱包 自社工場直送 オリジナル 超強化 ダンボール

こちらのダンボールは「丈夫だった!」という人と、「全然丈夫じゃない」という2つのレビューがあったものです。
以下、悪かったレビューを引用したいと思います。
『薄すぎ。超強化に騙されないでください!!コンビニでもらったペットボトルの段ボールの方が何倍も厚く丈夫です。160サイズでこの薄さ、使い物になりません。室内で動かしただけでもう変形しまくり。
海外引越用でしたが時間が無い中買い直しです。超強化はウソ。ハリボテ。材質が柔らかすぎ』

『超強化ダンボール』と言われるとものすごく丈夫なダンボールのように聞こえますが、実際はどうなのでしょうか。
このダンボールの材質は『 K5×K5 中芯強度 弊社オリジナル強化120g強化使用 Cフルート(4mm)』と書かれていました。
K5のライナー、中しんは120g、Cフルート(4㎜)ということですね。
Kライナーなのでグレードは高いものの5匁(もんめ)=170~180g/㎡ですから、厚さはそれほどでもありません。D4<C5<C6<K5<K6<K7の順に強度があがるので、K5ライナーは強度的には中程度のライナーであることが分かります。
次に中しん。こちらは会社オリジナルの強化がほどこされている120gのもの。強化がどれほどのものかはわかりませんが、中程度のライナーで挟んでいることと、標準の重さの中しんであることから、さほど硬いわけではないようです。
最後にフルート。こちらはAフルートよりも20%薄い、Cフルート。この情報から、「分厚いダンボール」ではないことが分かります。

○まとめ


ダンボールの素材を知れば、もう通販も怖くありません。「ふむふむ、これはAフルートか。ならよさそう!」こんなふうに素材表示からそのダンボールがどんなものか知ることができます。
最後にダンボールのウラ・オモテの見分け方ですが、オモテははつるつる、裏には線が入っていると覚えておいてくださいね。
中しんを貼り合わせるとき、オモテ部分はローラーを通り、裏は熱板を通るので線ができるのです。
これでもうあなたもダンボール博士!自信をもってショッピングを楽しんでくださいね!