ダンボールの形状

『みかん箱タイプ、ヤッコ型……さまざまなダンボールの形状を学んでいこう』

ダンボールを想像してみてください。
3、2、1……。皆さんはどんなダンボールを想像しましたか?
ミカン箱のようなタイプ? 風呂敷のように包む平べったいもの? それともぺったんこでこれから組み立てるもの?
そう『ダンボール』にはさまざまな形状があるんです!
今回はダンボールの様々な形状について。ふだん何気なく使っていたダンボールも、実は作られる過程であらゆる工夫がされていることが分かりますよ!

○ダンボールの形状


ダンボールの形状は○通り! と断言したいところですが、正解は『無限大』です!
というのも、ダンボールは包む商品の形状に合わせて特注したりするからです。
とはいえ、基本の形というのももちろんあります。以下、スタンダードなダンボールの形状をまとめてみたいと思います。

・みかん箱タイプ

ダンボールの基本といえばこの形! みかん箱タイプは最も多く出回っている箱の形状です。上面と底面をテープで封をしているので、べりっとはがせば簡単に畳むことができます。
みかん箱の良さはなんといってもコストパフォーマンが高いこと。幅や長さ、高さを変えるだけでさまざまな商品をぴちっと入れることができますし、四角い箱なので重ねて運ぶことができます。
欠点は、ふたをするテープがないと開いてしまうこと。テープがあれば最高! テープがないと使えない! とはいえ、ガムテープさえもっていれば、ふだんは折りたたんで収納しておいて、使うときにさっと取り出してテープで封をすれば立派な箱になるので、家庭にストックしている人も多いのです。

・ヤッコ型(たとう式)

平べったいものを風呂敷のように包む形、それがヤッコ型です。上面をテープで封をして使います。
みかん箱では生産ができないもの――たとえば、本やカタログ、CDなどの薄いものを包むために使われます。
欠点は加工が複雑になるところと、切り落とすダンボールの面積が多いところ。オーダーする場合、ほかの形状よりも割高になってしまうところでしょうか。
そして、箱の四隅に隙間ができてしまうので、商品を保護する力と強度がほかのものに比べて弱いです。
この問題は後に紹介する、N式上差込にすると改善します。

・筒形・ポスター(まるめこみ式)

細くて長いものを梱包するなら、この形状! CDショップに山積みになっているのは、アーティストの宣伝用ポスターに使われているからなんですね!
欠点はみかん箱タイプに比べると割高になるところ。ヤッコ形タイプに比べると、切り落とし部分はほとんどないのですが、折れ目や切り込みを狭い間隔で入れるので、そのぶん高くなってしまうのです。

・板ダンボール(パット)

ダンボール箱をのぞき込むと下に板状のダンボールが敷いてあったりしますよね。あれは板ダンボールといわれます。ダンボール箱のなかの商品を仕切るときや、上下の当て板として使用されています。また、箱ではなく袋で出荷する際に商品が折れ曲がらないように緩衝材としていれることもあります。

○組み立てタイプのあれこれ


ダンボールを解体した際、フクザツな形状をしているダンボールがありますよね。あれは抜型を使用して作っているダンボールです。抜型をしようすると、切れ込みをいれる部分や折れる位置を指定できるので、フクザツな曲線のあるダンボールなどが作れるのです。

例えば、車のバンパーに使用されるダンボールは抜型を使用しています。
抜型は新規で作成する場合、最初のみ抜型製作費用がかかります。小部数の場合は、小ロット用のカッティングマシンを使って抜型なしで作ることもあるようです。

・N式上差込式

平らな状態でお客様に届ける形。組み立てて箱にします。
箱にしたときに、内側の底面が平らになるのが特徴です。薄いものを梱包するのにぴったりな形で、箱の四隅に隙間ができるというヤッコ型の欠点を補填する形といえます。四隅が完全にふさがり、ダンボールが折り返されているのでヤッコ型に比べると強度があります。
差し込んで封をするタイプなのでテープがなくてもふたができるのもポイント!
欠点は抜型が必要になるということ。初期費用が高めになってしまうのと、梱包時に組立てる必要があることです。そして、フタの一部が箱の内部に入る形なので、中のものを傷つけてしまう場合もあります。

・N式サイド差込式

N式上差込式の上位バージョンがこちら!
差し込んで封をするタイプなので、テープがなくてもしっかりフタがしまります。
四隅が完全に塞がるのと、最低でも2面はダンボールが折り返されるので、ヤッコ型よりもぐっと強度が増します。
内フタを外すと、差込むフタが中のものと接触しないので、中のものを傷つける心配もなし!
最近ではフリマアプリを利用する人が多いので、郵送会社がこの形状のダンボールを売るようになりました。小物を安全に送るのにぴったりな形です。
欠点は抜型を使用しないと作れない、ということでしょうか。

・上下差込式

箱の枠が畳まれた状態で届けられるタイプ。上下のフタを差し込んで完成です。差し込んで封をするのでテープがなくても大丈夫。箱の枠ができあがっているので、組み立てもラクチンです。4枚のフタを組み上げて、上フタを差し込んで使います。
欠点は、底面を組み上げるために底面の形状がでこぼこになることです。

・上差込下風車式

こちらも箱の枠ができあがっているタイプ。畳まれた状態で届けられます。4枚のフタの底面を組み上げ、上フタを差し込んで使います。ワインなどのお酒を入れるビンによく使われます。
こちらも差し込んで封をするので、テープがなくてもフタがしまるのが良いところです。また、箱の枠ができているので、N式よりも組み立てが簡単です。
欠点は上下差し込み式と同様、底面を組み上げるために底面の形状がでこぼこになることです。

・上差込下仕切式

箱の枠ができあがっていて、畳まれた状態で届けられます。4枚の底面のフタを組み上げて、4区画、もしくは6区画の仕切りができます。上フタは差し込みます。
N式よりも組み立てが楽であることと、仕切りがあるので別に仕切りを用意しなくてもよいことが良い点。欠点は、4区画か6区画でしか仕切れないことです。

○あまり見かけない箱


1856年にこの世にダンボールが登場してから、ダンボールはさまざまな形に変化していきました。いまではあまり見かけない形状をご紹介しましょう!

・B式箱

枠と差と呼ぶ2つのパーツを繋いで作ったもので、上下のフタが差し込み式の形式をB式、またはB式箱と呼びます。
昭和の時代にはよく使われたこのB式箱ですが、抜型を使った製法が普及したことで今ではほとんど見かけなくなりました。むかしは直線的な断裁と罫線の加工しかできなかったので、このB式箱が主流だったのです。
B式箱は2つのパーツを作り、それらを繋ぐのですが、ダンボールの糊には速乾性がないので、繋ぐために鋲を打って繋げます。
この2つのパーツを作るだけでも大変なのに、鋲打ちで繋げるのですから、その工数たるや大変なもの。
また、鋲を打ってあるB式箱はリサイクル時の分別回収も大変なので、抜型を使ったダンボールが主流になるとB式箱はほとんど作られなくなったのも頷けますよね。
B式箱と似た形に、上下のフラップを差し込んで封をする上下差込式がありますが、こちらは抜型を使うので、1つのパーツですみますし、1箇所しか繋がないので、通常のダンボール糊を使えるので、圧倒的に楽に生産できるんです。
このようにB式箱が上下差込式に変わっていった歴史があるので、上下差込式のことをいまでもB式と呼ぶ人もいるようです。

・C式箱(しーしきばこ)

蓋と身という2つのトレー状のダンボールを被せ合わせて、ひとつの箱にするのがC式箱と呼ばれるものです。
お弁当箱の形にそっくりなので、「お弁当箱タイプ」と呼ばれたりします。
C式箱はカレンダーや額縁などの高さが低くて平べったい製品によく使われていました。
C式もB式のように、鋲で四隅を止めるのと、2つのパーツが必要なため、作るのに手間がかかり、いまではほとんど見かけなくなりました。
その昔、C式箱がたくさん作られていた時は、鋲打ち職人がものすごいスピードで鋲を打っていたそうです。スイッチを踏んでいる間、鋲が出続ける足踏み式の機械をあやつり、C式箱を持つ手を移動させて、一度も足を離さずに4隅を止める職人がいっぱいいたのだとか。まさに職人技ですね!

・オーバーフラップ

みかん箱タイプによく似ているオーバーフラップは、外蓋の部分の長さが長く、フタをすると完全に重なるタイプです。
フタのことをフラップと呼ぶのですが、フラップが大きく伸びているのでオーバーフラップと呼ぶようになりました。
みかん箱タイプを作りたいけれど、外ブタの巾が長さに対して短すぎるというときにオーバーフラップにします。
また、みかん箱タイプだと、底面の真ん中に荷重が集中し、底抜けしてしまう恐れがあるので、重いものを梱包する際は、底抜けを防ぐために底面の外ブタを完全に二重にしたりします。そのような場合にオーバーフラップで作っていました。
しかし、オーバーフラップはみかん箱に比べるとフタの長さが2倍になるので、そのぶんコストが割高になります。フタの長さが倍ということは畳んだ時にもおおきくなってしまうので、置き場所に困ることも……。
そして、箱として使う場合もテープを貼る場所が箱の端の部分になるので貼りにくく、となりの荷物と一緒に入れた際、テープがはがれてしまう可能性もありました。
今は安価で優れている緩衝材をたくさん選べるのでオーバーフラップを使うことは少なくなりました。

・上A下組式

上フラップはみかん箱タイプ(A式)と同じで、4つのフラップが同じ長さで直線加工されているこの形。下フラップは上差込下組式と同じで、4つのフラップを組み上げてロックさせます。上がA式、下が上差込下組式なので、上A下組式と呼ぶのです。
品物を梱包する現場では、まず底面を作って組み立てる作業だけを行い、空箱を沢山作って積上げ、中に入る製品が出来上がったら、連続して梱包していく……というのが主流です。
しかし、現在この上A下組式はほとんど使用されません。その理由は、上A下組式の底面が組み上げ式なので、専用の抜型を作る必要があるため。「だったら、ついでに上側のフラップも組み上げ式にしよう」と、差込式にしてしまうのだそう。
あえて上A下組式として作る場合は、上差込下組式で流れていたロットが、増産され、大量ロットになった時です。梱包作業現場に上に貼るテープを自動的に貼れる設備をお客様が導入した時などにこの形を採用する場合もあるそうですよ!

さまざまなダンボールの形状。知ってみると、なかなか面白いですよね!
「あ、これはヤッコ型だな!」とか「みかん箱タイプだね!」とリサイクルする前にじっくり箱を眺めてみるのも楽しいと思いますよ!